
人工呼吸器が装着されている患者さんは、さまざまな欲求が制限されていることが多いです。例えば、「話すこと」「お風呂に入ること」「食べること」…など挙げればきりがありません。当センターの一番の特徴は、全ての患者さんに毎週入浴していただいていることだと思います。これは開設当初からの医師の想いでもありますが、毎日6~7人の人工呼吸管理下にある患者さんに入浴していただくことは容易なことではありません。開設10年目を迎える当センターの、チームワークの賜物だと自負すると共に、私自身スタッフに対する感謝の気持ちでいっぱいです。また、入浴以外にも可能な限り患者さんやご家族の思いに添えるよう、スピーチ(人工呼吸器管理下での発話)や経口摂取訓練にも積極的に取り組み、現在3名の方がスピーチを行い、6名の方が経口で食事を摂取されています。
センターに入院される患者さんのほとんどは、生命の危機を乗り越え転院して来られました。多くのことを諦め悲観に暮れている方もいます。私たちは、そのような患者さんやご家族への心のケアも求められ、ときには共に心が折れそうになることもあります。「この病棟は心のケア病棟やな。自分たちも患者さんのケアをするけど、患者さんたちに自分たちもケアしてもらっている…。」センター長の塗谷医師が私に言いました。とても優しい言葉だと思いました。医師と共に、スタッフ一同、患者さんやご家族が心身ともに癒される支援を今後も続けていきたいと思います。